九九を覚えるには、まとまった時間をとるより、短い練習を毎日くり返すほうが向いています。一度に長くやると子どもが飽きてしまいますし、何より大人の側が続きません。
ここでは、1日5分を目安にした練習の組み立て方を紹介します。共働きで夕方が忙しくても、5分ならおふろや夕ごはんの支度中に入れられます。
短く、毎日のほうがよい理由
覚えたことは、時間がたつと少しずつ抜けていきます。抜けかけたころにもう一度思い出すと、次は前より長く覚えていられる、ということが学習の研究でくり返し確かめられています。1日に30分を1回より、5分を6日に分けたほうが、この「思い出す」機会を多く作れます。
5分なら、子どもも「すぐ終わる」と分かっているので取りかかりやすくなります。練習を始めるまでのやりとりが短くなるのも、家庭では大きな利点です。
5分の練習メニュー
| 時間 | やること |
|---|---|
| 1分 | きのう練習した段の上がり九九を唱える(ウォーミングアップ) |
| 2分 | いま学校で習っている段を練習する。上がり九九が言えていれば下がり九九、下がり九九も言えていればばらばら九九 |
| 1分 | 「にがてリスト」の式だけを確かめる |
| 1分 | できた式に印をつけて終わる |
上がり九九・下がり九九・ばらばら九九のちがいは「上がり九九・下がり九九・ばらばら九九」で説明しています。
「にがてリスト」を作る
練習の中でつまずいた式を、小さな紙に書きためておきます。これが「にがてリスト」です。九九は全部で81ありますが、子どもによってつまずく式はある程度決まっています。
リストの式は、3日続けてすぐに言えたら消してかまいません。消していく作業そのものが、子どもにとって進んでいる手応えになります。反対に、リストが長くなりすぎたら、その日は上の3つだけ、のように数を絞ってください。
練習する時間帯
決まった時間に練習すると習慣になりやすくなります。家庭ごとに合う時間はちがいますが、たとえば次のような場面が使えます。
- 朝ごはんのあと、着がえを待つ間
- おふろの中(湯船につかっている間に1つの段を唱える)
- 夕ごはんの支度中(台所から大人が問題を出す)
- 車や自転車での移動中
- 寝る前の数分
どれも紙がなくても、声だけでできます。
続けるための工夫
できた日を目に見える形にする
カレンダーに印をつける、シールをはるなど、続けた日が見えるようにすると、子どもも大人も続けやすくなります。休んだ日があっても責めず、また次の日から始めればよいことにしておくと、途中でやめてしまうことが減ります。
大人が答えを確かめられるようにしておく
大人が九九を言えるつもりでも、子どもが言う読みと少しちがって迷うことがあります。冷蔵庫や洗面所に九九の表を1枚はっておくと、すぐに確かめられます。読み方については「九九の唱え方一覧」も参考にしてください。
終わりの時間を守る
調子がよいと「もう少しやろう」と言いたくなりますが、5分と決めたら5分で終えるほうが、次の日も気持ちよく始められます。子どもが自分から続けたがるときは、もちろん付き合ってかまいません。
つまずいたとき
同じ式で何度もまちがえるときは、唱え方だけで覚えようとしていることが多いようです。その式の意味に戻って、「7が6つ分」を図やおはじきで確かめてみると、答えに理由がつきます。
覚えにくい段のコツは「7の段・8の段・6の段が覚えにくいわけ」に、まちがえたときの声のかけ方は「九九をまちがえたときの声かけ」にまとめています。
5分の練習の1つに、無料ゲーム「くくの ほしあつめ」の1回(10問・1〜2分)を入れることもできます。
出典
- 学習を時間をあけて分けることの効果(分散学習)についての研究のまとめ:Cepeda, N. J. ほか (2006) "Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis." Psychological Bulletin, 132(3), 354–380.
https://doi.org/10.1037/0033-2909.132.3.354